持っている人と持っていない人
一握りの選手が選手としての成功を手に入れる
その中のさらに一部がキャリアとしての成功を手にする
その両方を同時に手にする選手というのはさらにその一部だ
それがスポーツにおける競争社会そのものなのだ
かのNBA界の名コーチであるジェリー・スローンのある選手に贈った言葉だ
プロの世界は華やかに見える
華やかなシーンの裏には多くの敗者のストーリーがあると思い知らされる
プロの世界で活躍するだけで持っている人だ…世間的には…
だけど、プロになったらやっぱりチャンピオンになりたいもの
チャンピオンになるためにはさらなる何かを持ち合わせなければいけない
それが主力かつチャンピオンとなるにはそれは非常に稀なケースなのだろう
外から観る観戦者の我々にはそれほど稀には感じないかもしれないが…
今日はペイトリオッツの中で特に持っている人と持っていない人の差がついたエピソードを書きたい
はじめにことわっておくが今回記事にする持っていなかった選手が成功してないわけじゃない
ただ、ペイトリオッツというチームの主力としてスーパーボウルリングを手に入れられなかった事が不運だという事だ
また、持っている選手として紹介する選手もただ運がいいだけではない
実力を持ちその上でいくつかの偶然の重なりでペイトリオッツ10年ぶりの制覇にこぎ着けたという事である
さて、それぞれ持っている人、持っていなかった人の紹介を
まず、持っている選手はパトリック・チャンである
チャン先生は2009年に2巡目でペイトリオッツから指名を受けた
この年の1巡目をトレードダウンしたのでペイトリオッツのトップ指名の期待を背負って入団した
入団当初から安定した成績を残していく
プレイもまずまずでほどなくしてスターターとなっていった
だが、徐々に安定感はあるけどどこか物足りない感じの選手になっていった
そして、ルーキー契約が切れた2012年にイーグルスからの契約を選びペイトリオッツから出ていく
この時の契約がおおよそ$5.0Mの契約なのであの時のサラリー状況で言えばマッチできただろう
この時のチャン先生はマコーティの良き相棒という評価だったのだろう
だから、翌年に控えるマコーティの長期契約のためにペイトリオッツは無理に追わなかった
そして、移籍先でのチャン先生はそれは微妙の極み
まさに帯にナンチャラって感じだった
イーグルスは1年でチャン先生を見切る
そこに目がキラリと光るはペイトリオッツ
市場に出てきて即チャン先生を再獲得
こういう状況からもペイトリオッツの本音がわかる
本来は放出したくはなかったのだろう
だが、ここはペイトリオッツ
ビジネスとして割り切り自分達の評価でマッチしない選手はどんな選手でも無理に追わない
まさにペイトリオッツの思惑通りといった形だったのだろう
しめしめとニヤケが止まらないベリチックは2試合目からチャン先生をスターターとして使う
レギュラーシーズンではチーム有数のハードタックラーとして活躍
第49回スーパーボウルでも地味ながら確かな活躍を見せてくれスーパーボウルリングを手にする
そして2年後の今年も主力として2つ目のリングを獲得した
戻ってくるのが1年遅かったりしたら多分チャン先生もペイトリオッツもスーパーボウルを取れなかっただろう
まさに偶然とタイミング、持ってる者がそれぞれ成功するといういい例だ
さて、次は持っていなかった人だ
持ってなかった人はウェス・ウェルカーだ
ウェルカーは2007年からブレイディのホットターゲットとして活躍した
主にスロットレシーバーとしての役割でウェルカーのルートランはかなりの評価だった
他にもウェルカーは変わった記録がある
高校時代キッカーだったウェルカーは1試合で全てのスペシャルチームプレイに参加するというNFL史上2人の達成のみという珍記録を持っている
全盛期はウェルカーへのパスはランと同じ効果を持つと言われるほどの安定感でペイトリオッツの影のエースレシーバーであった
そんなウェルカーもNFLにデビューする際はドラフト外での入団であった
ペイトリオッツに入団するまでは紆余曲折がありそれほど目立った活躍はなかった
それもペイトリオッツ入団と同時に世界が変わったかのような活躍が始まった
そういう意味ではウェルカーは持っている選手だった
だけど偉大な成績を積み上げていくもスーパーボウルリングにはどうしても届かなかった
しかもスーパーボウルとの相性は本当に悲運といえた
ペイトリオッツで2度、ブロンコスで1度の計3度の出場 でその全てで負けている
特に2011年は自分のプレイが原因で敗退したとも言われた
第4Qの残り2分弱で3点リード
ファーストダウンを取れば勝利がほぼ決まるという3rdダウン
ターゲットはウェルカーでブレイディのパスは浮き気味だった
ただ、ウェルカーならキャッチ出来そうな高さだった
結果は僅かにタイミングが合わずにインコンプリート
致命的なパスドロップだったと批評された
正直言って厳しい評価だと思う
その後、私の嫌いなアンチクショ〜弟に逆転TDを決められて負けた
ウェルカーが一番スーパーボウルリングに近づいた時だった
この後はまさに不運
ウェルカーがブロンコスに移籍した年にスーパーボウルに出場するもチームはまたしても敗退
その翌年にはペイトリオッツが10年ぶりの制覇
…が、その時にはウェルカーはブロンコスにいなかった…
ことスーパーボウルについてはまさに持っていなかった
こうやってみると巡り合わせってのはあるのだと思う
それからどれだけ実力を持ち合わせていても最後に結果を手繰り寄せるものにはやはり運も必要になると思う
やはり実力を持ってるのは当たり前でスーパーボウルを取るにはそこにもう一つの他の力が必要なんだろう
ほんの少しの何かの違いでチャン先生とウェルカーの運命は逆になっていたのかもしれない
もっともこの2人のペイトリオッツでのキャリアは大部分が同じチームでプレイしているのだが…それはまた別の話という事だ
キャリアというのは実に分かりづらく、不確定で恐ろしいほどに人を惹きつける
これからも様々な選手のキャリアが私たちを惹きつけるだろう